有給休暇 2

有給休暇 2

 ずいぶん以前に退職された総務の女性を、悪く言うつもりなど毛頭ない。おそらく彼女自身、そう信じ込んで返事したまでだろう。だいたい社員からして、有給取得者なんて皆無だった時代だ。

 とはいえ、当時の最低賃金589円(平成5年度・静岡県)に近い額で働かれていた現場の皆様に、事実を知ったあとまで黙っているのも気が引けた。といって、入社したての新人が組織の牙城に歯向かうのもためらわれる。

 幸か不幸かその年の春から、地元で合同庁舎の管理が始まり、そこには労働基準監督署も入っていた。監督署に問い合わせ「パートさんにも同じ権利があります」との回答でしたと、女性の口から言わせる工作をはかったのである。「こう言われちゃったけど、どうするの?」

 すんげぇ嫌な顔されたが、そこまで調べられちゃ下手な反論もできない。有休はあります、となった。
 
 面白いのは当事者の女性。「それなら助かります」と、実際には現役中、有給取得を一切しなかった。身体をこわされ退職に当たり、20日程度を消化したに過ぎない。いろいろな思いはあったろうが、「会社にあまり(過度な)迷惑はかけたくありませんから」とおっしゃられことがある。実は当時のビルメン事業の利益は厚く、さほど“迷惑”でもなかったはずだが。

 今ならこうした感覚は社畜とさげすまれ、損得勘定のみの判断が優先されるかもしれない。しかし失われたようにも思える相手への気遣いは、日本人が元来持っていた美徳でもあったはず。

 言葉にすれば、労使協調の精神が生きていた時代と言えるかもしれない。



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